入試なしで中学から高校に進める「併設型」の公立中高一貫校が全国で増えている。愛知県でも2025年度に初めて誕生する。先行する4校は大学入試対策を目的とした先取り学習はせず、探究的な学びに力を入れるという。県教育委員会が描く学校像は実現可能なのか。入学者選抜や教育格差の問題に詳しい東大大学院の中村高康教授(教育社会学)に課題を聞いた。
〈併設型公立中高一貫校〉
文部科学省によると、2003年度は全国で23校だったのが、13年度には74校、23年度には105校にまで増えた。愛知県でも2025年度から県立明和、半田、刈谷、津島高校に付属中学が設けられる。4高校はいずれも伝統校で、東大や京大の合格者を輩出する進学校も含まれている。
――愛知に併設型の公立中高一貫校を設けると発表されたとき、最初に思ったのが私立で実践されてきた中高一貫教育を公立でもやる意義は何かということでした。公立中高一貫校の導入について、中央教育審議会は1997年、「ゆとり」ある学校生活といった利点を挙げて「中高一貫教育を享受する機会をより広く提供していくことが適当」と答申しています。これが公立の中高一貫校の意義という理解でいいでしょうか。
私立で中高一貫教育が実践されてきたと言っても、私立に行くのが経済的に厳しい状況の子どもたちもいます。受験までにかなりの塾代がかかることが多く、入学後の学費も高い。文部科学省の21年度の全国調査では、中学でかかるお金の平均は公立が年約54万円なのに対し、私立は年約144万円でした。経済的に恵まれない環境の子どもたちにも中高一貫教育を受ける機会を広げるのであれば、公立中高一貫校の意義はより明確になってくるでしょう。
難しくせざるを得ない適性検査…なぜ?
――愛知で始まる4校は、子どもたちの中高一貫教育を受ける機会を広げるでしょうか。
どうでしょう。公立中高一貫校に合格できる層と私立中学に合格できる層はかぶってくるのではないかと予想しています。
昨年12月に県教委が発表した適性検査のサンプル問題を見ましたが、それ相応の対策が必要なように感じました。あのような問いが出題されたとき、経済的な理由で対策できない子どもたちが合格するのは、簡単なことではないように感じました。
ただ、問題を難しくせざるを…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル