政府は、農林水産物・食品の輸出拡大へ、国・地域ごとに、関係省庁や自治体が対応すべき目標や達成時期を定めた政府の工程表に、新たな方針を盛り込んだ。米国、欧州連合(EU)へ牛肉を輸出できる施設を、年内に4件ずつ認定する方針。中国には牛肉の輸出解禁へ、年内に検疫協定の署名を目指す。
米国、EU向けの牛肉輸出を巡っては、処理施設の危害分析重要管理点(HACCP)の認定が大きな課題になっている。これまで施設が竣工(しゅんこう)しても、認定が2年以上得られないケースもあった。
米国向けは6月時点で3施設の認定が完了。申請準備中の1施設には農水、厚生労働の両省や自治体などで構成する協議体が円滑に申請できるよう支援する。工程表では、厚労省が書類審査や現地調査した後、問題がなければ申請後3カ月以内に認定するとした。
EU向けは6月時点で2施設が認定され、残り2施設には、米国向けと同様に両省などで構成する協議体が支援する。厚労省による書類審査、現地調査で問題がなければ申請後3カ月以内にEUへ通知するとした。
米国とEU向けに、それぞれ4施設が認定を受け、輸出できるようになれば牛肉輸出額は計36億円程度増えると見込む。一方、工程表を実現するには衛生面などの基準を満たした上で申請し、認定を得るという一連の手続きをクリアしなければならない。
中国は2001年に日本で発生した牛海綿状脳症(BSE)を受け、日本産牛肉の輸入を禁じている。日中両政府は4月、「動物衛生及び検疫協定」(仮称)に実質合意し、解禁に向けて前進した。
工程表には、協定への早期署名を盛り込んでおり、農水省は「年内の署名を目指す」(動物衛生課)考えだ。協定の合意後も、食品衛生基準などについて同国とさらに協議する必要がある。
工程表の進捗(ちょく)は、農水省に設置される関係省庁の総合調整を担う新組織が管理する。手続きの迅速化や各国との調整・交渉などを円滑に進めることが求められている。
日本農業新聞
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