秋元司容疑者が、北海道留寿都村でのIR計画をめぐり、贈賄側の中国企業と連携していた札幌市内の観光会社に、国土交通省の空港整備担当部署を紹介していたことについて、弁護側は「政治家として当然のこと」として収賄容疑との関連を強く否定する。一方で秋元容疑者は中国企業側に「大手カジノ業者と組むべきだ」「ギャンブル依存症対策が必要」などとも助言。これらが「逆境にあった」(道関係者)というIR参入への「便宜」に当たる可能性もある。
「留寿都へIRを誘致したい」「そうですか、ぜひ頑張ってください」
留寿都村のある幹部は平成30年4月、国交省副大臣室で秋元容疑者が約1時間にわたり、熱心に話を聞いてくれたのを覚えている。観光会社幹部や贈賄容疑で逮捕された「500ドットコム」元顧問、紺野昌彦容疑者らも同行した。
同村の弱みは新千歳空港からバスで2時間というアクセスの悪さ。そこで観光会社は、「500」社の1500億円の投資を前提に、プライベートジェットの発着枠が限られる新千歳空港を経由せずに、富裕層を直接受け入れられるよう小型機用滑走路の建設を計画に盛り込んだ。
観光会社幹部は周囲に「留寿都から道内の他の観光地にも足を運んでもらえる」と話したという。
28年12月のIR推進法成立後、各都市で誘致レースが本格化、北海道内では釧路、留寿都、苫小牧の3都市が主要候補とされた。だが国のIR推進会議は29年7月、「国際競争力を有する」「事業主体の一体性」「地理的一体性」などの方向性を示した。大都市での主要カジノ業者による運営を想定しているとみられ「地方型の釧路や留寿都は厳しい状況に追い込まれた」(北海道のIR関係者)。
観光会社が、国土交通副大臣として航空行政も所管する秋元容疑者に空港整備について相談した背景には、苦境を打開する狙いもあったとみられる。結局、担当部署からは「新規開設は難しい」という趣旨の返答があったという。
秋元容疑者の具体的な助言は他にも浮上。オンラインくじを主要事業とする「500」社はカジノ運営経験がないことから、「大手カジノ業者と組んだ方がいい」とアドバイス。また、国会審議でギャンブル依存症対策が取り上げられたことから、「依存症対策をきちんとやるべきだ」とも助言していたという。
秋元容疑者は逮捕前、「(便宜は)何もしていない」と繰り返し強調。弁護人は、担当部署紹介について「議員が窓口を教えることはよくある話で、担当に何か指示したわけじゃない」と反論する。
古い知人は秋元容疑者について「政治家の仕事は口利きだと思っていた節がある」と語り、相談されると、その場で電話で関係者を紹介するなど対応の早さで知られていたという。
ある検察OB弁護士は「他の業者より有利になるような助言をすれば便宜になる可能性はある」と指摘する。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース