虐待など「不適切な保育」のリスクは、「教育」「しつけ」としておこなわれる保育の中にも潜む――。保育現場のリスクマネジメントの専門家、遠藤登さんはそう指摘します。保育現場で子どもたちを守るためにできることは何か、聞きました。
――各地で「不適切な保育」が明らかになっていることをどう感じていますか。
大きな理由の一つには、それぞれの園が持っている「保育方針」「特色」の独りよがりな解釈による関わりなどがあります。それが、知らず知らずのうちに、不適切な行為につながってしまうケースが多いと考えています。
最近、保育現場にも「子どもの人権に配慮する」という考え方が広まってきましたが、まだ「教育」や「しつけ」という観点から、「子どもが自らを律して、自らを正すようにしよう」と、即時性の高い外発的動機付け(賞罰や強制による動機付け)に頼りがちです。
そのゆがみに気付けず、声掛けや行動がエスカレートしてしまった先に、不適切な保育や虐待があるのでは、と感じています。
――問題となりうる保育方針には、どのようなものが具体的にあるのでしょうか。
たとえば、「心身ともにたく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル