新型コロナウイルスが、学生の卒業旅行に影を落としている。海外旅行の目的地を変えたり、国内旅行にしたりしたケースも。「社会人になったらなかなか行けない」と思う一方、「万一感染したら」と、若者たちの思いは揺れている。
「憧れのイタリアだったのに……」。福井大4年の女子学生(22)は、欧州への卒業旅行をあきらめた。イタリア政府が中国との直行便を停止し、経由地の北京から搭乗予定だった飛行機が欠航したためだ。
旅行好きの母に勧められ、コロッセオやベネチアなどに行く予定だった。直行便もあったが、旅費を抑えるために中国経由にしたのが災いした。「残念で悲しいけれど、もし感染して嫌な思い出になる恐れがあるなら」と、国内旅行にするという。
日本政府は13日から外国人の入国拒否の対象者を湖北省だけでなく、上海市に隣接する浙江省にも広げた。中国在留の邦人や中国への渡航検討者に向けた「感染症危険情報」(全4段階)では、湖北省と浙江省温州市に「渡航中止勧告」(レベル3)、その他全域に「不要不急の渡航はやめてください」(レベル2)を出している。
「中国経由のお客様はお断り」。3月に米ロサンゼルスに行く名城大4年の男子学生(22)は、宿泊予定のホテルからこんなメールを受け取った。男子学生は、上海を経由して行く予定だった。
上海からの便が飛ぶかどうかもわからないため、急きょ往路は韓国、復路はハワイの経由に変更し、航空券代は当初の約6万円の2倍になった。「社会人になったら簡単に海外なんて行けないのでなんとしても行きたかった。こんなに出費がかさむとは……」
チェコなどに行く予定の三重大…
980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル