東京都新宿区の小学校に、年間1トンを超える青果を収穫する「屋上農園」がある。その素人離れした規模に、各地から視察が相次いでいる。農作業を通じて、子どもたちに「あえて失敗を経験する場を」と、校長が始めた取り組みだ。
JR大久保駅から徒歩約10分の住宅街にある区立柏木小。テニスコート5面分に相当する約1千平方メートルの屋上のほぼ全面にブルーシートが敷かれ、その上に培養土を高さ30~50センチに盛った畝(うね)がいくつもの列をなす。児童と保護者の有志が毎週末、ここで農作業をし、1年にわたって大根や小松菜、イチゴやスイカなど20種類を育てている。
6月のある土曜日の朝には約40人が集まり、トウモロコシやオクラの間引きなどに取り組んだ。キュウリを収穫した3年の尾町颯司(おまちそうし)君(9)は、毎週の農作業を通じて苦手だったトマトを最近食べられるようになった。「大変な思いで野菜をつくっているのがわかったから」。母親の仁美さん(43)は「土や自然に触れられる経験は、新宿ではなかなかできない。ありがたいです」。
同校が屋上農園を始めたのは3年前。昨夏には100キロの野菜を収穫した日もある。つくった野菜は家族で味わってほしいと持ち帰ってもらう。食育の一環で給食に出したり、地域の住民に子どもたちが販売したりすることもあり、「一石何鳥」もの学びになっている。「大豊作」の評判を聞きつけて最近では、他の学校や企業からも、屋上農園を始めてみたいと、視察が相次ぐようになった。
仕掛け人の校長 「失敗から学ぶ経験、昔より積みづらい」
だが、発案者の竹村郷(さと…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル