新成人にエールを送るサプライズ花火が大分県中津市の小祝漁港で9日に打ち上げられた。コロナ禍で同市でも成人式がWEB開催になり、帰省自体がしづらくなるなか、「大きな花束を受け取ってほしい」と親や祖父母ら有志が協賛金を寄せ合い、夜空に大輪を咲かせた。
花火は9日午後7時からの約5分間。同市の川嶋煙火製作所がハート形や「20」の数字の花火を含む数十発を打ち上げた。
きっかけをつくったのは製作所の川嶋千春さんと「ママ友」の長倉恵さん。2人とも今年成人式を迎える子がいて、小中高校と成長をともに見つめてきた。
コロナ禍で学校がリモート授業になるなど息苦しい生活を強いられている子たちのため、「20歳の門出になにかしてあげたいね」と2人で話すなかで「花火の花束」を思い立った。
同世代の子を持つ親たちに呼びかけると、祖父母世代も含め120人を超す協賛が集まった。「上を向いて笑おう。はたちの笑顔は中津の宝」「生まれてきてくれてありがとう」。そんなメッセージも届いた。
「密」を避けるため日時と場所は協賛者だけに伝えた。港に来た新成人たちもいて、静寂が戻った夜空に向かい「ありがとー!」と声を上げた。商業施設の屋上やグラウンドなど、思い思いの場所で空を見つめた人たちもいた。
帰省できなかった新成人から「中津の人を誇りに思う」というメッセージが来たり、協賛した親から「感無量だった」と電話があったり。川嶋さん自身も、息子から「ありがとう」の一言をもらった。「多くの人に喜んでもらえ、私の方が心が温かくなりました」(寿柳聡)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル