米軍人向けの旧住宅を数多く残し、米国の郊外を思わせる懐かしい街並みで知られる埼玉県入間市のジョンソンタウン。雑貨店や家具店に県内外から多くの人が訪れる人気スポットで近年目立つのが、ワンちゃん連れの人の姿だ。近くに大きな公園があるほか、タウン内にはペット関連の店が次々に誕生。愛犬家の憩いの場としても注目を浴びている。
4月にオープンした「カフェグリーン」はペット同伴で食事やお茶を楽しむことが可能。中庭では体重が50キロ以上もある大型犬のレオンベルガーなど4匹が放し飼いされており、希望すれば店内で触れ合うこともできる。子どものころ、通学路にすみ着いた野良犬に追い回された経験がある記者も、店を出るころにはすっかり、とりこにされてしまった。
店主の高道麻美(たかみち・あさみ)さん(50)は大型犬とのびのび過ごせる家を探してジョンソンタウンにたどり着いた。店では「犬好きのお客さんと交流できて楽しい」と笑顔。都内からペットの柴犬と共に訪れた女性は「犬連れで入れる飲食店は珍しい。散歩の後にゆっくりできた」と話す。
犬の衣料品を扱う「INU CLOSET」では、雑誌の表紙を飾ったこともあるキャバリア犬がお出迎えしてくれる日も。少し胴の長いキャバリア用の服を取りそろえ、試着も可能だ。タウン内にはほかに、犬のしつけ教室やペットホテルもそろっている。
「もともと犬好きの住人が多かったが、近年、関連する店舗が増えた」と話すのは、ジョンソンタウンを管理する磯野商会の磯野章雄(いその・あきお)常務。米国では広い家で犬を放し飼いにするスタイルが一般的で、タウン内の多くを占める平屋建て住宅では「きちんと世話をしてもらえるなら、数もサイズも自由です」。
かつて一帯には旧日本軍の飛行場などがあり、戦後に米軍が接収してジョンソン基地として使用。土地を管理していた磯野商会が軍人向けの住宅を建設した。1978年の基地返還後、日本人向けの賃貸を続けたが、老朽化が進んで住宅街は活気を失っていたという。
都市計画の専門家に相談して住宅を改修し、米軍住宅に似せた「平成ハウス」も造成。2009年にジョンソンタウンと改称し、以後、多くの人が集まるようになった。
17年には「米軍の住居を町ごと再生し、新しい命を吹き込んだ」として日本建築学会賞も受賞した。
19年11月現在、タウン内には54の店舗があり、175人が暮らす。うち半数超は県外からの移住者だ。
磯野常務は「動物好きな人はもちろん、お店をやりたい人などさまざまな人が共生できる町を目指したい」と話している。(共同通信=平川翔)
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