東日本大震災から11年となった11日、被災地では教訓を引き継ごうとする住民たちの姿があった。
岩手県沿岸の宮古市。太陽が昇り、明るくなり始めた11日午前6時すぎ、街にサイレンが響き渡った。津波避難訓練の合図だ。
震災前から市は毎年、避難訓練を実施している。避難場所の一つに指定されている市立赤前小学校には、坂道を上って近所の人たちが早朝から集まった。
今年の訓練は、日本海溝付近を震源地とする地震が起き、大津波警報が発表されたという想定。市民は、市が指定した緊急避難場所130カ所などに向かう道のりの確認などをした。
コロナ禍の影響で避難所は開設せず、建物は開放しない形で行われた。赤前小学校では市民が校舎の入り口前に集まり、寒さを我慢していた。
久保田純子さん(44)は子どもたちと家族4人で参加。避難所から歩いて10分ほどの自宅は、東日本大震災で半壊した。子どもたちとは普段から「家に自分たちだけでいたら、どう行動するか」「どの坂を通って逃げるか」などを細かく話し合っているという。
毎年参加している佐々木チヱさん(89)は「家を出たら、近所の防災会の人が待っていて手を貸してくれた。安心して参加できた」と話した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル