本州唯一のナベヅルの越冬地、山口県周南市の八代(やしろ)盆地で越冬中のツルが今季は4羽にとどまっている。飛来した7羽のうち、3羽が飛び去ったためだ。八代に来たツルが姿を消すケースはこれまでもしばしば報告され、飛来数が伸びない一因にもなっている。
行方不明の3羽が帰ってくるように、他のナベヅルが渡来するように、ねぐら整備や観察を続けていきたいです
ツルの監視所に掲示されている、地元の児童たちが画用紙に書いた「つる日記」。3羽がいなくなったことを「悲しい」とも記した。
「13羽だった昨季を超えてほしい」――。10月、八代盆地への第1陣の渡来に備えてねぐらや餌場の整備に取り組んだ住民や児童らはそんな願いを口にしていた。
1陣の4羽が飛来したのは昨季より14日遅い11月9日。3日後の12日に第2陣1羽も到着した。関係者が胸をなで下ろしたのもつかの間、その翌日に第1陣4羽のうち3羽が飛び去ってしまった。
2008年に過去最低の4羽まで落ち込んだ渡来数。その後、環境の整備などで持ち直し、ここ4季は2桁台が続く。21年には28羽が飛来し、「渡来数は回復基調にある」と感じる人は少なくない。
だが、現在、越冬しているのは11月26日に第3陣として現れた2羽を含む計4羽。12羽が越年した昨季に比べても寂しい年の瀬を迎えている。
「冬の使者」はなぜ、八代を離れたのだろうか。
「渡来したツルが飛び去った…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル