松田昌也
2021年に札幌市立中学校に通う生徒が、小学校から続くいじめを苦に遺書を残して自殺していたことが21日、分かった。第三者による調査委員会が報告書を公表し、「教員や学校が適切に対応していた場合、自死は防ぐことができた可能性が十分にある」と指摘した。
報告書は、遺書にいじめられたことを示唆する内容があったほか、生徒のノートに小学校時代からいじめを受けていた記述があったと指摘。小学校のいじめアンケートでは「仲間はずれや無視をされる」「たたかれたり、けられたりする」「持ち物をかくされたり、いたずらされたりする」「悪口を言われる」などと複数回答えていた。
さらに学級担任に繰り返し相談したが、「後で話しておくね」と言われるだけだったり、死のうとしたことを相談しても真剣に取り合ってもらえなかったりしたという。
小学校から中学校へのいじめに関する情報の引き継ぎも不十分で、中学校ではいじめが「重大レベル」とは判断されなかった。
報告書は自殺の直前に苛烈(かれつ)ないじめ行為は認められなかったとしつつ、亡くなった生徒がいじめや学校の対応によって継続的な苦痛を受け、慢性的なストレスを感じていたと判断。大人に援助を求めても無駄と不信感を強め、徒労感や無力感を募らせて、自殺を考える精神状態から抜け出せなかったと結論づけた。
会見した調査委員会の前委員長で、北海道大大学院の篠原岳司准教授は「いじめへの対応は、教職員個人に委ねず、校長の監督のもと組織で判断する必要がある。いじめの記録も次の学年、学校へ確実に引き継ぐことを徹底すべきだ」などと再発防止策を訴えた。(松田昌也)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル