札幌市の北海道立高校1年の男子生徒(当時16)が2013年に自殺したのは、所属する吹奏楽部の顧問の教諭から受けた不適切な指導が原因だったなどとして、母親(53)が道に約8400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、札幌高裁であった。長谷川恭弘裁判長は「指導は適切とは言えず、生徒を混乱させた」と指摘したが、「自殺の予見は困難だった」として道の責任を否定。学校が自殺に関するアンケートの回答原本を破棄したのは違法だとして道に110万円の支払いを命じた一審・札幌地裁判決を支持しつつ、原告の控訴を棄却した。
訴状によると、男子生徒はメールのやり取りなどをめぐり他の吹奏楽部員らとトラブルになっており、自殺前日には複数の部員をめぐる発言について、顧問から指導を受けた。母親は自殺の原因を「顧問から理不尽な叱責(しっせき)を一方的に受け、精神的に追い詰められためだ」と主張。また、学校が全校生徒を対象に実施した自殺に関するアンケートの回答の原本を破棄したのは「調査報告義務を怠った」などと訴えていた。
今回の判決は、自殺前日の指導について、内容を男子生徒に理解できるように説明した形跡がないなど、「教育的効果を発揮するどころか、かえって生徒を混乱させた」と指摘。この指導が自殺の契機となったと認めたが、「自殺を招くような強い心理的負荷を与える危険な指導方法とまではいえない」とした。そのうえで、自殺の兆候が多く見られたとはいえず、予見は困難だったとして、自殺を回避する義務の違反に当たらないと結論づけた。
アンケートの破棄については「…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル