大学入学共通テストの受験生らが刺された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された少年(17)が逮捕直後、「事件を起こすために包丁やナイフを買った。家から持ってきた」と話したことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は計画性があったとみて調べている。
事件は15日午前8時半ごろに起きた。
東京都文京区の東京大学弥生キャンパス西側の路上で、東京都豊島区の男性(72)と、受験生の千葉県市川市の女子高校生(17)、同県浦安市の男子高校生(18)が順に刺され、重軽傷を負った。
警視庁は、近くにいた名古屋市に住む高校2年の少年を生徒2人に対する殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。3人と面識はなく、声を出さずに背後から駆け足で近づき、1度ずつ刺したとみられ、同庁は無差別に襲ったとみている。
捜査関係者によると、現場には3人を刺したとみられる包丁(刃渡り約12センチ)が落ちていた。少年の所持品からナイフ(同約6センチ)と折りたたみ式ののこぎり(同約21センチ)も見つかった。
少年は逮捕直後、「(刃物は)自分で準備した」「14日夜にバスで名古屋から上京した時も持っていた」といった説明をしたが、その後、黙秘に転じたという。
また、少年の父親が14日夜に愛知県警に行方不明者届を出した際、「息子は成績不振で悩んでいた」と話していたことも、捜査関係者への取材で新たに判明した。14日朝に家を出た際は制服姿で、両親は登校したと考えていたという。
少年は逮捕直後、「医者になるため東大をめざして勉強していたが、約1年前から成績が上がらず、自信をなくした」「人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」などと説明した。保護者や学校への不満は口にしなかったという。警視庁は、保護者や学校関係者に話を聴き、動機などを解明したい考えだ。
刺傷事件の直前には、現場近くの東京メトロ南北線東大前駅で不審火が起きていたが、不審火は駅の少なくとも8カ所で火が上がっていたことも捜査関係者への取材でわかった。
着火剤のような物が燃えた形跡があり、防犯カメラに火のついた着火剤のような物を持つ少年の姿が記録されていたという。刺傷事件の現場でも、複数の着火剤や可燃性があるとみられる液体が入った瓶などが見つかっており、警視庁が経緯を調べている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル