旧日本陸軍大刀洗飛行場の歴史を伝える福岡県筑前町高田の大刀洗平和記念館で14日、同飛行場で父親が勤務していた漫画家・松本零士さん(81)のトークショーがあった。松本さんの記念館訪問は初めて。パイロットだった父・強さん(故人)から聞いた戦場の実態に触れながら「争いはすべきではない。人は死ぬために生まれてくるのではない。人は生きるために生まれてくるのだ」と語り、命の大切さや平和の尊さを訴えた。
【写真】世界で唯一の現存機である九七式戦闘機を見学する松本零士さん
トークショーは飛行場開場100年と記念館開館10年の記念イベントの一環。記念館によると、松本さんが生まれた当時、強さんは同飛行場に駐屯していた飛行第四連隊に所属。太平洋戦争末期には第32教育飛行隊長としてフィリピンに赴任した。激烈な戦いを生き抜き、帰還したという。
松本さんは「敵機を撃ち落とそうとするとき、相手の家族のことを思い一瞬ためらったそうだ。撃墜するときは悪魔にならなきゃいけない、こういう争いは二度とやってはいけないというのが父の口癖だった」と回顧。戦後、強さんにはパイロットの誘いがあったが、亡くした多くの部下への思いもあり固辞し続けたという。一方で、洋上での夜間飛行を「まるで宇宙を飛んでいるようだった」とも語っていたことが、松本さんの作品の着想につながったことも明らかにした。
トークショーの前には、強さんらが乗っていた陸軍九七式戦闘機と対面した。松本さんは「大刀洗は命の古里であり、心の古里。いろんな体験が私の作品を支えてくれている」と感慨深げに語った。 (横山太郎)
西日本新聞社
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