オバマ前米政権の核政策で中心的役割を果たしたアーネスト・モニツ元エネルギー長官が朝日新聞の取材に応じ、22日に発効する核兵器禁止条約に関連して「核保有国が禁止の議論に参加しなかったのは間違いだと思う」「核保有国と非核保有国の対話を困難にした」と述べた。米国を含む核保有国は一貫して核禁条約に否定的な立場を取ってきたが、「核兵器なき世界」の理念を引き継ぐバイデン次期政権の発足を前に、対話の重要性を訴えた。
モニツ氏はオンラインのインタビューで、「核禁条約は、核不拡散条約(NPT)の長期目標と根本で合致している。特に米国とロシアが核廃絶をめざす行動を示せば、核保有国と非核保有国の対話を活性化することができる」と語り、世界の核兵器の9割以上を保有する米ロの責任の大きさを指摘した。また、核保有国が条約の議論に参加しなかった判断について「(対話を)容易にではなく、困難にした」と述べた。
NPTは、米ロ英仏中の5カ国だけに核保有を認める一方、誠実に核軍縮交渉を行う義務を負わせている。非核保有国は交渉が進まないことに不満を持ち、核禁条約の策定を進めてきた。批准国・地域は昨年に51に達し、1月22日に発効する。
核保有国は核兵器廃絶を急ぐ禁止論に反対し、条約の議論に参加して来なかった。それだけに、米政府の元高官が、NPTと核禁条約の目標が「根本で合致している」との認識を示したのは異例だ。モニツ氏はまた、被爆国であり、米国の同盟国でもある日本が核保有国と非保有国の橋渡しをする「特別な役割」があると指摘した。
モニツ氏はトランプ政権につい…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル