奈良県吉野町が工事を発注した、集会やキャンプなどに使える交流拠点「国栖(くず)の杜(もり)」を整備する事業で、建築廃材とみられる異物が大量に混入したチップ製品が、植栽工事に使われていたことが判明した。町は建設会社などに工事のやり直しを求め、完工が遅れている。地元の住民からは困惑の声も上がる。
町によると、「国栖の杜」整備事業は、同町窪垣内(くぼがいと)の旧国栖小学校と隣接の旧国栖幼稚園の跡地を活用するもの。住民らによる国栖地区自治協議会が2016年度に発足し、事業計画を主導して進めてきた。
計画では、幼稚園舎は協議会事務所などに、学校体育館は避難所としても利用し、それぞれ耐震化。小学校舎は取り壊し、運動場とあわせて計約5千平方メートルになだらかな起伏をつけ、植樹する。植栽は最後の工事で、町の総事業費は3億4600万円という。
植栽を請け負った建設会社は昨年、指名競争入札で1430万円(税込み)で落札。仕様書では、土壌保護のため「枝や葉を細かくチップ化したもの」(約80立方メートル)を敷き、低木250本を植栽することになっていた。
昨年7月末~12月25日に施工されたが、町の完工検査で、古い木材片にガラスや金属片、ビニールなどが混入していることが判明した。町は今年3月25日までに仕様書通りに工事をやり直すよう、建設会社と、施工管理を委託する大阪のコンサルタント会社に請求しているという。町総合政策課の吉村直樹課長は「安全性にも問題があり、やり直してもらわないと工事は完了しない」と話す。
一方、建設会社の役員の一人は「チップの品質の確認ができていなかった問題はあるが、営利目的の手抜き工事はしていない。地元に迷惑をかけられないので、いい方法を検討したい」と取材に答えた。
国栖地区自治協議会は4~5月…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル