「女性のDNAの中に常に虐げられた歴史がある」。神奈川県横須賀市の上地克明市長(69)が市議会でこんな発言をし、抗議を受けて謝罪した。
公式な場でいまだにこうした発言が飛び出すのは、何が問題か腑(ふ)に落ちていない人も多いためでは――。専門家はそう指摘する。変える鍵は何か。
上地克明市長が発言を取り消し
発言が出たのは、6月8日の市議会本会議の自民党市議の一般質問で、人口減少社会におけるまちづくりについて「女性に選ばれるまち」について問われた際のことだ。
上地市長は「女性のDNA、ミトコンドリアの中に常に虐げられた歴史があって。その怨念(おんねん)、無念さが今の社会を構成していると思っている」「だからこそ反動形成で男女共同参画社会という話が出ている」などと持論を展開した。
市民ら3人は21日、「非科学的で根拠がないにもかかわらず、女性と、怨念や無念さというイメージを公の場で結びつけたことは無責任」として、発言の撤回や謝罪などを求める約1400人分のオンライン署名を提出。上地市長は「配慮を欠いた表現により不快な思いをされた方々がいることについて率直におわびしたい」と述べた。発言は会議録から削除された。
ミクロ→マクロの問題点
問題になった中には、市役所で女性がいない会議があることについて問われ、「それが私よく分からないんですが、私、結婚してからすべて女房が決定権を持ってたんで。全く逆で」と自分と妻の関係を引き合いに出し、「私にとっては仕事でも何でも男女の区別はまったくない。だから女性の数をある程度(増やすなど)しなきゃいけないっていう意味が今でもよくわからない」と述べたやりとりもあった。
政策の議論の中で、唐突に持ち出される「うち」の話。関西大文学部の多賀太教授(社会学)は、「女房が決定権を持ってきた」という言い方は、「家では妻の尻に敷かれている」といった言い方と似て、「社会的に権力を持つ立場の男性が、ある種のガス抜きのために、言ったり言われたりしがちな表現」だと指摘する。
「今回のような発言は、残念ながら本当に多くの議会や企業である」ーー。背景と解決策を、3人の専門家に聞きました。
ほほえましくとらえられる場…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル