20日開票された東京都杉並区長選は、無所属新顔で公共政策学者の岸本聡子氏(47)が4選をめざした現職の田中良氏(61)ら2人を破って、初当選を果たした。当日有権者数は47万2619人で、投票率は37・52%(前回32・02%)だった。岸本氏は同区で初の女性区長となる。田中区政の転換を求める市民グループに擁立され、長く暮らした欧州から区内に転居したのは2カ月前。短期間で勝利を引き寄せた選挙戦を振り返る。(井上恵一朗、川口敦子)
「みんなのことは、みんなで決める」「商店街守って、街並みを守ろう」
20日午後、当選が決まると、区内の事務所に集まった支援者が喜びを分かち合った。岸本氏は「選挙が自分事になった。有権者は政策を見ている」と語った。
岸本氏が手応えを感じたのは、ネット配信された公開討論会(東京青年会議所主催)だったという。
名前連呼よりも「対話」を
欧州から移り住んだばかりで知名度不足を自覚していた。だが、街頭で名前を連呼するような訴えをするつもりはなかった。討論会では、情報公開を出発点に街づくりをともに考えていく姿勢などを打ち出した。田中良氏との質疑を通しても「政策通」を印象づけることに成功したという。
選挙後半、街頭でも区民との「対話」に力を入れてきたという。
岸本氏を擁立した市民グループ「住民思いの杉並区長をつくる会」の戦い方にも特色がある。メンバー間でアイデアを出し合い、一人ひとりが自発的に取り組んだ。その一つが、「ひとり街宣」。仕事前や帰り、駅頭に1人で立ち、岸本氏への支援を呼びかけた。
支援した立憲の区議は言う。「無党派の人たちが見て、住民がやっている選挙運動と一目でわかる。一部の政治家だけが熱心な選挙との差は歴然だ」
■「男性目線」より新しい風…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル