【動画】中学校の水泳の授業で、プールに飛び込んで障害を負った新嵩晃崇さん。特別支援学校を経て、現在は大学で学んでいる
プールでの飛び込みは、小中学校の体育の授業で禁じられているが、重大な事故が後を絶たない。なぜ危険なのか。取材すると、学校のプールの構造的な背景も見えてきた。
島で生まれ育ち、泳ぎは得意だった
しゃがんだ形から水面へ。頭を打った感じはなかったが、体がしびれ、動かなくなった。新嵩晃崇(あらたけあきたか)さん(20)は、あの瞬間を覚えている。
日本最西端の与那国島。2013年7月、中学3年の11人で水泳の授業を受けていた。場所は沖縄県与那国町立プール。習うのはこの日が初めてだった。2回目の飛び込みで、プールの底に頭を打ち、頸椎(けいつい)を損傷して首から下が動かなくなった。
晃崇さんは、石垣島の病院で首を固定する手術を受けた。その後、寝たきりのベッドで、頭をわしづかみにされるような痛みに泣いて過ごした。「死んだ方がよかった」。家族には、そう言った。
ある日、好きなゲームをしている夢を見た。だが、目覚めた自分の体は動かない。現実に押しつぶされそうになった。
それでも、福岡の病院でリハビリに取り組んだ。1年後に退院。「もう一度ゲームをしたいという思いで、少しずつ動けた」と振り返る。
沖縄本島の特別支援学校を経て昨年、沖縄国際大に入学した。支援学校では、情報処理やWEBデザインなど四つの資格を取得した。今は、母あすかさん(47)の介助を受けながら車いすでの生活を続ける。
島で生まれ育ち、泳ぎは得意だった。海によく飛び込んでいた。それでも事故は起きた。小学生も使うプールの水深は、約1メートル。「浅すぎた」と晃崇さん。
あすかさんは「車いすの日々は一生続く。こんな事故が二度とないように、学校の先生は我が子と思って細心の注意を払ってほしい」と話す。
相次ぐ飛び込み事故を受け、国は学習指導要領を改訂。小学校は2011年度、中学校は12年度から授業での飛び込みを禁じていた。この学校の授業で、なぜ飛び込みは行われたのか。町教育委員会は取材に「記録がなく、詳しい経緯は分からない」と述べた。
■部活動の事故、3年間で1…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル