2019年7月の参院選広島選挙区をめぐり、計100人に計約2900万円を渡したとして公職選挙法違反(加重買収など)の罪に問われた元法相で衆院議員・河井克行被告(58)の被告人質問が23日、東京地裁で始まった。克行議員は「すべてが買収目的ではないが、全般的に買収罪という事実は争わない」と述べ、無罪主張から一転して地元議員や首長ら大半への買収を認めた。
また、この日の法廷で「民主主義の根幹である選挙の信頼を損なった。全ての責任は私のみにある」と議員辞職する意向を表明し、裁判の結果については「いかなる処罰を下されようともすべて引き受ける覚悟」とも語った。
克行議員が認めたのは、地元議員や首長、後援会関係者への買収行為。妻の案里氏(47)=有罪確定で参院議員を失職=との共謀と、一部の陣営関係者や議員らへの買収は否定した。具体的な人数は明言しなかったが、約90人に対する計約2300万円の現金提供を買収行為と認めたとみられる。
買収の動機については「案里の当選を得たいという気持ちが全くなかったとは言えない」と説明。無罪主張を変えた理由は「独房で自問自答を繰り返し、逃げることなく認めることが、支えてもらった支持者への責任の取り方だと考えるに至った」とした。
克行議員が選挙運動を取り仕切る「総括主宰者」かどうかも争点だが、明確に否定しなかった。
昨年8月の初公判で克行議員は、現金は「(地方選の)当選祝い」などと無罪を主張。その後の公判で、被買収側100人中94人は、検察側の主張に沿う形で授受の違法性を認めた。
克行議員は当選7回。法務副大臣などを経て19年9月に法相となり、公選法違反疑惑が明らかになった同年10月に辞任。20年6月に案里氏とともに逮捕された。(松島研人、新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル