自民党の河井克行前法相(広島3区)の妻案里氏(参院広島)が支部長を務める自民党支部が昨年7月の参院選で、複数の陣営関係者に公選法違反(買収)の疑いがある報酬を払っていた問題で、うち1人が広島地検の任意聴取に対し、金の受け取りを認める供述をしていることが29日、複数の関係者への取材で分かった。「合計で約96万円を受領した。違法との認識はあった」などと説明。克行氏から直接依頼を受け、「月70万円で」と金額の提示を受けていたという。
複数の関係者によると、受け取りを認めたのは会社員男性。案里氏が初当選した参院選広島選挙区(改選数2)の選挙期間中、企業などを回って支持拡大を図る活動をしていた。原則無報酬の選挙運動の対価として報酬のやりとりがあれば、渡した側と受け取った側の双方が買収罪に問われる可能性があり、地検は慎重に裏付けを進めているもようだ。
男性は昨年6月上旬に克行氏から月70万円の対価で誘われ、案里氏の陣営に参画。6月中旬から投開票日前日の7月20日まで、企業や地方議員の訪問を担当した。
男性名義の銀行口座には6月28日~8月1日に計3回、案里氏が支部長の自民党広島県参議院選挙区第7支部の名義で計約86万円が入金されたほか、広島市内の事務所で6月上旬、陣営側から現金10万円を渡されたという。
男性は地検の聴取に「違法な報酬だった」と認め、「克行氏は当選7回のベテラン。報酬については適切に処理してくれると思っていた」と供述しているという。地検が2月中旬に男性の自宅を家宅捜索していたことも分かった。
この男性以外にも、中国新聞の取材では少なくとも2人に月額約40万~約50万円が払われた疑いがある。地検が関係者の聴取をするなど捜査を進めているとみられる。案里氏の事務所はこれまで「刑事事件の進捗(しんちょく)や捜査への支障の有無などを勘案し、適切な時期に説明したい」とコメントしている。
案里氏の陣営を巡っては、選挙カーから支持を訴える車上運動員に対し、上限の2倍の報酬を払った疑いなども浮上している。地検は1月に河井夫妻の自宅や事務所など関係先を家宅捜索し捜査を進めている。
中国新聞社
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