北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、迅速な救助の重要性が再認識された。そんな中、漁船転覆事故で祖父を亡くした男性が開発した相互海難救助サービスへの関心が高まっている。
福岡市でベンチャー企業「nanoFreaks」を経営する千葉佳祐さん(27)は、漁業が盛んな北海道紋別市出身。
漁師の祖父が47年前、乗っていた漁船が転覆して帰らぬ人となった。働き手を失って生活は困窮し、祖母は苦労して母を育てた、と聞かされた。まわりに海難事故で家族を亡くした人は珍しくなかった。
山形大学を卒業して2018年、九州大大学院に進んだ。元々起業に興味があり、福岡市で起業関連の情報に触れるうち意欲が高まった。祖母や母のように悲しむ人を減らしたいという気持ちから、漁業者向けの相互海難救助サービスを思いついた。
海上保安庁によると、船舶事故を除いた漁船から海中への転落者数は20年、74人だった。そのうち死者・行方不明者は49人で約7割を占める。
沿岸漁業では1人で漁を行う場合が多いうえ、救難要請を発信する手段に乏しく、転落事故が認知されるまで2時間を超す例が約4割に上る。千葉さんは「異常をすぐに知らせることができれば救助の確率は高まる」と考え、休学して開発に取り組んだ。
完成したのが「yobimo…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル