斎藤徹 滝口信之 力丸祥子
福島県郡山市で、乗用車と衝突した軽乗用車が横転して炎上し、4人が死亡した事故で、4人の身元が判明した11日、郡山市大平町の事故現場には多くの人が花を手向けに訪れた。
県警によると、亡くなったのはいずれも近くに住む会社員の橋本貢さん(41)と妻でパート従業員の美和さん(39)、長男で郡山消防署員の啓吾さん(20)、長女で県立田村高校の1年生橋本華奈さん(16)。死因は美和さんが一酸化炭素中毒、ほかの3人が焼死だった。
啓吾さんと消防学校で同期の消防士男性(24)はニュースで悲報を知り、いてもたってもいられず現場に来たという。消防学校の訓練は厳しかったが、啓吾さんは同期に率先して声をかけ、引っ張っていく存在だった。「人を助けたい思いが強く志が高かった。これから活躍するという時にこんなことになり、どれだけ無念だったか」と話した。
消防士の同僚だった20代男性は事故現場に花を手向け、「啓吾は何事にも真面目で人付き合いもいい後輩だった。これからという時に……」と唇をかんだ。啓吾さんからは、消防団員だった貢さんに憧れて消防士になったと聞いていた。
ともに救助隊員になるのを夢に切磋琢磨(せっさたくま)したという男性は「熱かっただろう、助けてやれなくてごめんな」と語りかけた。
華奈さんと高校の同級生という女子生徒2人は現場に花を供え、涙が止まらなかった。クラスも部活も別だが共通の友人を通じて親しくなり、誕生会も開いてくれたという。2人は「優しくて明るくて、いつも笑顔で話しかけてくれて……」と言葉を詰まらせた。
貢さんと5年来の友人の男性…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル