深夜に1人で路上を歩いていた80代の認知症の女性を保護したとして、宮城県警気仙沼署が、気仙沼市上東側の会社員斎藤亘(わたる)さん(37)に感謝状を贈った。当日は厳しい冷え込みで、大雪に見舞われる前夜だった。女性は薄着で、見過ごせば命の危険もあったという。
署によると、斎藤さんは1月11日午後11時半ごろ、車で会社から帰宅途中、市内の鹿折地区の橋の上でよろよろ歩く女性を見つけた。手袋もせず、用足しで荷物を持っている様子もない。服は雪まみれ。いったん通り過ぎたがどうしても気になり、引き返した。
「どこへ行くの?」
声をかけると「高田(岩手県陸前高田市)」という。つづら折りの峠を越えた、約20キロ先のまちだ。気温は零下3・6度。女性は部屋着の上にカーディガンを羽織った程度だった。「認知症じゃないか」と気づいた。斎藤さんの祖母も認知症だったからだ。
車に乗るよう促し、署に連れて行った。女性は現場付近の住人で、家族が迎えに来た。家族は連絡を受けるまでいなくなったことに気づいていなかったという。翌日は未明から大雪だった。
気仙沼署で25日、感謝状の贈呈式があった。笠松真治署長は「命の危険もあった中、連れてきて頂いた」とたたえた。斎藤さんは「川に落ちたら、車にひかれたら、と思うと気が気でなかった。無事で何よりでした」と語った。(星乃勇介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル