静岡県熱海市伊豆山で2021年7月に発生した土石流の原因を調査した同市議会は15日、盛り土の崩落後に災害関連死を含む28人が死亡した災害について、斉藤栄市長と市当局が「責任を負うべきである」と明記した報告書を議決した。報告書を受け取った斉藤市長は住民の犠牲に関する自らの責任を明言せず、法的責任の判断を司法に委ねる立場を強調した。
調査報告書は地方自治法100条に基づく特別委員会(百条委)が作成。土石流の起点付近の土地利用の届け出書を災害防止事項などが未記載のまま市が2007年に受理したことについて、「条例で定められたとおりの事務を行っていなかった」と問題点を指摘した。
市は11年、業者に安全対策を求める措置命令の手続きに入ったが、業者による防災工事の一部完了などを理由に命令を見送った。報告書はこの対応に関し、届け出の約3倍の高さ40~45メートルになっていた盛り土について「盛り土を撤去し、土堰堤(えんてい)を築造するよう、措置命令を出すべきだった」と委員の意見を示した。
さらに防災工事は「土採取等に関する技術基準に適合するまでの防災措置がとられたとは考えられない」とし、市の指導に関して「最善の対応となるための手続きを行う余地は十分にあった」と批判。市長と市に「多くの尊い命と住民の財産が奪われた事実を重く受け止め、その責任を負うべきである」と求めた。
市長「法的責任はない」
県と市の関係では、「県担当…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル