東京都八王子市の高田千鶴さん(41)は、牛の写真を撮影し続けて20年以上、全国でも珍しい“牛写真家”だ。子どもの頃から牛が大好きで、酪農ヘルパーなどを経て牛専門の写真家となった。高田さんは“も~っ”と牛ファンを増やそうと、子育てをしながらシャッターを切り続ける。
高田さんは大阪府堺市出身。小学校4年生の時に大阪府立農芸高校の近くに引っ越し、前を通るたびに牛や豚がいることで興味を持った。
迷わず同校に進学し、畜産を学び、卒業後は酪農ヘルパーになった。しかし、腰痛でヘルパーの仕事を泣く泣く断念。カメラ店でアルバイトをしながら、写真を撮影することで牛との関わりを保ってきた。
カメラの技術を学ぶために東京に移住。独学で技術を向上させ、2009年には友人の勧めで牛の写真集を出版した。
その後は酪農の雑誌で連載をしたり、ブログで牧場の訪問企画を記したり、牛の展示会を開いたりと、牛写真家としての活動を続けている。
高田さんにとって 牛の魅力は「空気を読まないところ」。人前でもふんをする牛の雰囲気に、高田さんも牛の前だと自分をさらけ出せるという。
これまで訪問した農家は200以上で、撮影した枚数は数万枚に上る。お世話になった農家に牛ファンを増やすことで恩返しすることが目標だ。牧場を紹介するパンフレットの写真も撮影している。
結婚し、子育てをしながら取材で各地に出向く。臆病な牛を驚かせないように、話し掛けて牛と仲良くなってからレンズを向け、シャッターを切るのが撮影スタイル。距離感の取り方も人間と同じようにして牛を尊重している。
現在は、酪農教育ファームを展開する八王子市の牧場で、息子が名付けて毎月世話する子牛の様子をカメラで記録し、いずれは本として出版したいと考える。
写真を撮ることで「牛のかわいさを一人でも多くの人に伝えたい」と夢を抱く。
日本農業新聞
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