斎藤徹
福島県三春町の新春を彩る「三春だるま市」が15日、町中心部で開かれた。同町の福聚寺住職で芥川賞作家の玄侑宗久さんが「希望の一文字」を書き込んだ大だるまが披露された。
今年の一文字は「人」。玄侑さんはコメントを寄せ、「人類は今や自然を回復不能にできるほどの道具と技術を不用意に持ってしまった」と憂える一方、「期待できるのも人しかいない。平和も復興も医療も芸術も、人間だけが産み出した叡智(えいち)と技術ではないか」と望みを託した。
「希望の一文字」は2010年から始まり、毎年1字ずつ漢字を書き入れ、28年かけて七言絶句をつくるという壮大な企画。最初の七言「根を発し、地を興す破竹の生」に続き、今年完成した新たな七言は「夢醒(さ)めて翁(おきな)に遇(あ)う、香久(かぐ)の人」。その意味は――。
玄侑さんは、人の一生を「竹取物語」のかぐや姫になぞらえ、「生きている間に何度も目覚め、そのたびに誰かに出逢(あ)い、新たな現実に向き合う」と表現。「新たな現実に溶け込んでみることで、人生は豊かになっていくのではないか」とし、人と人との出会いが人生に豊かさをもたらす、と説いた。(斎藤徹)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル