「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72)が2013年12月に本社前で射殺された事件は、発生から19日で9年となった。今秋に容疑者が逮捕、起訴されたが、事件に至る経緯などは分かっていない。この日に合わせて遺族は真相解明を求めるコメントを出し、現場では早朝から関係者らが花を供え、手を合わせた。
大東さんは13年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区の本社前の駐車場で、乗用車を降りた直後に腹や胸を拳銃で4発撃たれ、殺害された。
京都府警は今年10月、実行犯とみて、特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部の田中幸雄被告(56)を殺人と銃刀法違反の容疑で逮捕。京都地検が起訴した。
現場付近に残されたたばこの吸い殻から採取されたDNA型が田中被告のものと一致し、その吸い殻は現場で投げ捨てられて消されたとみられるなど状況証拠を積み重ねて判断。田中被告は氏名不詳の人物らと共謀したとされる。
田中被告が黙秘を続ける中、府警と福岡県警の合同捜査本部は工藤会系組事務所などの関係先を捜索し、王将創業者の親族ら旧経営陣にも任意で事情聴取。王将側が過去に特定の企業グループと約260億円の不適切取引をしたことも踏まえ、組織的犯行だった疑いを視野に捜査している。
大東さんの長男剛志さん(48)は、府警を通じて「私たち遺族にとって、一生忘れる事のない大切な父親の命を奪われたあの日から丸9年という長い月日が経ちました。犯人が逮捕され約2カ月が経ち、極刑を望む気持ちに何ら変わりはありません。警察には今後の捜査で背後関係を含め事件の真相を全て明らかにしてもらいたいと思います」とのコメントを出した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル