日中両政府は、月内で調整していた中国の王毅国務委員兼外相の来日を見送り、11月以降に実施する方向で検討に入った。来日は中国側が打診していたが、中国共産党が26日から開く中央委員会第5回総会(5中総会)の影響などで日程が整わなかった。複数の日中関係筋が8日、明らかにした。 日中間の要人往来は、2月に楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)共産党政治局員が来日して以来、行われていない。王氏の来日では茂木敏充外相と会談し、菅義偉(すが・よしひで)首相との面会も調整する。日中関係の重要性や新型コロナウイルスへの対応について意見を交わす一方、日本側は中国公船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で挑発行為を繰り返している問題などを提起する見通しだ。 王氏来日に積極的なのは中国側だ。米中対立が深刻化する中、国際的な孤立を防ぎたい思惑で、すでに王氏は欧州を歴訪するなど各国との関係改善に動いている。米国と良好な関係を築き、菅政権が発足した日本とも早期に意思疎通を図りたい考えだ。6日に東京で開かれた日米豪印による外相会談の内容を探る狙いも透ける。 一方、日本側はあくまで「求められれば断る理由はない」(外務省幹部)との姿勢だ。外相レベルで両国間や国際社会の課題を話し合う重要性は認めているが、新型コロナの影響で棚上げした習近平国家主席の国賓来日については「王氏の来日が実現しても進展する見込みはない」(政府関係者)との見方が強い。
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