100人に計2900万円が配られた巨額買収事件。公職選挙法違反(加重買収)の罪に問われた元法相で衆院議員・河井克行被告(57)の東京地裁での公判は、19日で100人全員の調べを終えた。これまでに94人が現金提供に違法性を感じたと認めており、一貫して無罪主張の克行議員自らが説明する3月からの被告人質問が注目される。
2019年7月の参院選広島選挙区をめぐり、買収された側として起訴内容に記された計100人は、地元議員や後援会関係者たちだ。50人が法廷で証言し、残り50人は弁護側が同意したため供述調書が読み上げられた。
無罪を主張する克行議員は昨年8月の初公判で、現金は「(地方選の)当選祝い」などとして違法性はないと説明した。これに対し現金受領を認めた99人のうち94人は、検察の主張にほぼ沿った形で、克行議員の妻の案里氏(47)を当選させるための投票とりまとめの趣旨だったなどと認めた。自民党公認候補だった案里氏は、党広島県連の支援を受けられず厳しい情勢だった。案里氏は今月5日、買収罪で有罪が確定し参院議員を失職した。
受け取った議員ら「断れば角が立つ」
100人のうち40人は、受領当時に現職の議員や首長だった。違法性を認めたのはこのうち35人で、5人が買収の趣旨を否定した。
証言をまとめると、克行議員が現金を渡す際は、人目に付かない場所で封筒を差し出したり、相手のポケットにねじこんだりした。拒まれても「まあまあ」とかわして足早に去り、政治資金収支報告書の記載に必要な領収書のやりとりもなかった。「最後までよろしく」など支援を求められることが多く、「安倍総理から」と言われたケースもあった。
金額は30万~50万円が多く、200万円(元県議会議長)や150万円(前三原市長)もあった。
こうした授受の状況から、議員らは「票をまとめる対価」「表に出せない金」と感じたという。
現金を受け取った理由としては、「(国会議員からの)申し出を断ると角が立つ」との趣旨の説明が多かった。大半がパチンコや孫との買い物、背広の購入などとして使い、手を付けなかったのは数人だった。
100人のうち60人は後援会…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル