中沢滋人
北海道糖業(北糖、札幌市)は、本別製糖所(北海道本別町)でのビート(テンサイ)を原料とした砂糖生産を、2023年3月で終了する。施設の老朽化や国内需要減少を受け、北見製糖所などに生産を集約し、効率化を図る。同製糖所では今後もビートの受け入れ業務などを続けるが、本別町の工業生産の大半を占めるだけに、生産終了は地元経済に大きな影響を与える。
本別製糖所は、前身の大日本精糖時代の1962年に操業を開始。2020年度は、十勝東部と南部の8町からビートを約36万トン受け入れ、約5万7千トンの砂糖を生産した。同製糖所は北糖の生産量の38%を占める。
北糖と親会社の製糖大手、DM三井製糖ホールディングス(東京)の発表によると、本別製糖所は生産終了後も、原料ビートの受け入れや買い入れ、耕作指導、倉庫管理などは続ける。55人の常勤従業員のうち、生産工程部門を中心に他拠点へ異動する。
北糖は「国内の砂糖需要が、人口減や健康指向の高まりなどで減少傾向の中、コロナ禍でさらに加速した。工場の老朽化も進んでおり、苦渋の決断。なるべく影響が出ないよう行っていきたい」としている。北糖の製糖所は、北見市と伊達市の2カ所となる。
本別で受け入れたビートの一部は、北見製糖所のほか、資本業務提携を結んでいる日本甜菜製糖(東京)の芽室製糖所(芽室町)にも生産委託する方向で協議している。
本別町では、本別製糖所だけで工業製造品出荷額の約8割を占め、製糖所は畑作農家の冬季の雇用の場にもなっている。高橋正夫町長は「周辺産業の裾野が広く、生産終了は、税収を始め、町産業への影響は計り知れない。ビートは輪作体系内で無くてはならない作物で、将来的に農家に不具合が出ないよう、各団体と協力して要請活動を行っていきたい」と語った。(中沢滋人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル