7日から断続的に降り続いた雪が、倒壊した家屋が広がる風景を白銀の世界に染めた。地震と津波により壊滅状態になった石川県能登町白丸地区。8日、海岸線を歩くと、波の音に混じり、「ガリガリ」と音が聞こえた。
木材や家財道具が散乱する家で、寺岡さちさん(81)が、スコップで畳の上で固まった土砂を削っていた。家は店舗も兼ねており、酒とたばこを扱っていたほか、新聞配達もしていたという。「どうすんの、これ」。時折手を止め、ぼうぜんと立ち尽くす。ともに片付け作業をしていた夫の勇紀夫さん(81)によると、地震の翌日から毎日、避難所から自宅に通っているという。
作業はやってもやっても終わらない。道路に面した壁には2メートル以上の高さに、津波の痕とみられる線状の泥が残っていた。さちさんは「まさかこんなひどい津波が来るとは。あぁ、恐ろしい」とつぶやいた。(友永翔大)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル