多田晃子
皇后さまは9日、60歳を迎えた。これに先立ち、宮内庁を通じて文書で感想を公表した。還暦を迎えるのは「信じられないような気持ち」とし、お世話になった全ての人への深い感謝や、国民からの温かい気持ちに心からのお礼を述べ、「これからまた新たな気持ちで一歩を踏み出し、努力を重ねながら、この先の人生を歩んでいくことができれば」とした。
新型コロナウイルスにより世界中で多くの人々が重い病に倒れ、亡くなっていくという「日々の報道を見るのが辛(つら)い毎日」だったとした。世界の戦争や紛争で多くの命が失われていることに大変心が痛み「分断と対立が深まってきているのでは」と懸念。対話を通して理解しようと努め、尊重し合いながら協力する大切さを改めて感じるとした。同時に、若い人々を含め、より良い世の中のために様々な活動を続ける多くの人に言及し、頼もしく思うとともに善意や創意工夫に感心し、「励まされることが度々あります」とした。
東日本大震災は阪神・淡路大震災とともに「大きな衝撃と深い悲しみを持って受け止めなくてはならない現実」と表現。被災地を訪れ、「今後、真の復興を心から願うとともに、引き続き心を寄せていきたい」との思いを新たにしたという。
久々の外国親善訪問となったインドネシア訪問は、当初は不安もあったと明かしつつも、両国間で長年にわたって培われてきた友好の輪の広がりを実感できたとした。
今年、結婚30年を迎えたことに心から感謝し、大学4年の長女愛子さまについては「いろいろな時に私たちを助けてくれるようにもなってきた」とした。
適応障害の治療を担当する医師団も「見解」を文書で公表。工夫を重ね、体調を整えながら努力して活動を続けている一方、快復の途上にあり、依然として体調には波があるとし、「ご散策などのご運動や気分転換のためのお時間を含め、十分なご休息をおとりいただきたい」とした。(多田晃子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル