村上友里
大型連休が始まった29日、東京・浅草の浅草寺周辺では、散策を楽しむ観光客らでにぎわった。
北海道から息子夫婦や1歳の孫らと訪れた高校教員の吉岡和彦さん(62)は、約3年ぶりに家族と遠出の観光旅行をした。「旅行中もマスクを外せる機会が多くなり、楽になった。孫と一緒に同じ時間を過ごせて楽しい」と喜んだ。
埼玉県の保育士の女性(23)は、群馬県に住む友人(23)と一緒にレンタル着物を着て食べ歩きを楽しんだ。これまで着物を着てもマスクをしていたが、マスク着用が個人の判断に委ねられるようになり、この日はマスクをしなかった。女性は「化粧が崩れないからうれしい」と喜び、友人の女性は「これからもっといろいろなところに出かけたい」と語った。
人力車や日本文化体験のサービスを運営する「時代屋」(東京都台東区)の藤原英則代表(67)は「お客さんが戻ってきてありがたいが、従業員の人手が足りず日々の対応で頭がいっぱいだ」と戸惑う。客足はコロナ禍前と同じ程度に戻ったが、回復が急速だったため、コロナ禍で減った従業員を増やすのが追いついていないという。
コロナ対策は、マスク着用を個人の判断に委ねるとした政府の決定に従い、客にマスクの着用は求めていない。従業員は着用を続けているが、レンタル着物の着付けでは客と距離が近いため、感染の不安は残る。藤原さんは「観光客の急回復もいつまで続くか見通せないし、先が見えない状態は続く」と話した。(村上友里)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル