北海道・知床半島沖で昨年4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で死亡した甲板員・曽山聖(あきら)さん(当時27)の両親=東京都=が、事故は国の不十分な船体検査が原因だとして、国に計約1億800万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が30日、東京地裁であった。
事故をめぐり、国の責任を問う訴訟は初めて。国側は、検査は日本小型船舶検査機構(JCI)が担っており、「仮にJCIに過失があったとしても、国は賠償責任を負わない」などとする答弁書を出し、請求棄却を求めた。
両親は訴状で、JCIが船のハッチの不具合を発見して不合格にしていれば、出航できず事故は起きなかったと主張。国には安全に航行できない船を検査に合格させた責任があると訴えている。
船舶の検査は国の事務だが、小型船舶の検査は国土交通省が所管する特別民間法人のJCIに委任されている。国側は答弁書で「国家賠償法上、『公権力の行使』をする主体が、責任の主体になると解されている」と指摘。「検査はJCIが自立的に行う業務。責任主体は国ではない」と主張した。
原告代理人は閉廷後の取材に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル