土舘聡一 渡辺洋介
約10万人が犠牲になった78年前の東京大空襲をめぐり、東京都は新年度から、収集・記録しながら非公開としてきた証言映像や戦争資料について、デジタル化する方針を固め、公開を検討する。1990年代に都平和祈念館(仮称)の展示用に集めたものの構想が凍結され、その大半が20年以上、倉庫に保管されたままになっている。
収集したのは空襲体験者330人分の証言映像のほか、焼夷(しょうい)弾の破片などの戦争資料の約5千点。都によると、昨春の都議会で小池百合子知事がデジタル化を進める方針を表明した。「ウクライナ侵攻で平和への意識が高まっていることから、資料や映像を活用して戦争の記憶を風化させない」とねらいを説明。23年度予算案には費用として6402万円を計上した。
都は、330人の証言映像のデジタル化や公開に向けて、展示以外での使用について出演者や家族に意向確認を進めてきた。今年1月末時点で113人の同意を得たが、遺族や体験者本人と連絡が取れないケースも多いという。
貴重な資料はこれまで、市区町村に一部が貸し出されるなどするだけだった。集めたのになぜ、活用されてこなかったのか。
「一歩前進」と評価 祈念館に向けた議論も
祈念館の展示内容や歴史認識…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル