第一生命保険の元女性営業社員(89)が顧客から19億円超をだまし取った疑いがある問題で、朝日新聞は被害者のひとりと元社員が電話で交わした会話の音声データを入手した。預けたお金を返すよう促す被害者に対し、当時現役だった元社員がのらりくらりとかわす様子が記録されている。
第一生命によると、元営業社員は山口県を拠点に、24人から19億円超をだまし取った疑いがある。顧客からの連絡で6月に調査を始め、7月3日付で解雇に。山口県警に詐欺容疑で刑事告発したとしている。
取材に応じた40代の被害女性によると、昨年初めに母親を亡くした後、営業社員(当時)が母親の死亡保険金の説明で訪ねてきた。母親とは数十年来の付き合いで、地元では財界人や政治家との交流も持つなど名士として知られた存在だった。
死亡保険金は5千万円だった。営業社員から「第一生命には私の特別枠がある。年1割の金利がつく」「これは亡くなったお母様への恩返し」などと言われた。当初は渋ったが、弱っていた折に母親の思い出も織り交ぜながら説得され、最終的に受け入れた。銀行口座に振り込まれた保険金を引き出して手渡した。
だが、返済期日とされた今年2月になっても、営業社員は何も言ってこない。
営業社員から返ってきた言葉は…
そこで3月以降、電話などで返金を促した。営業社員は「なるべく早く返す」「あまり早いのは無理」などと言い逃れた。お金が必要なら銀行から一時的に借りればと促すこともあった。そのうちに、徐々に連絡がつきにくくなった。
7月中旬、第一生命のコンプライアンス担当部署から連絡を受け、事情を聴かれた。そこで同社から「特別枠と言われてお金を預けた被害者がほかにもいる」「特別枠はない」などと明かされた。
元営業社員は第一生命を解雇さ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル