加治隼人
鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地で21日、米空軍の無人偵察機MQ9の運用が始まった。東シナ海など周辺海域での監視や偵察を目的に、日米両政府で計画を進めてきた。活動は来年11月まで続き、米軍関係者150~200人が市内に駐留する。
米軍や防衛省によると、基地に配備されるMQ9は計8機。機体は全長約11メートル、全幅約20メートルで、夜間や悪天候でも船舶などの動きがわかる高性能センサーを備える。海洋進出を活発化させる中国やロシアなどの動きを念頭に、日米同盟における情報収集能力を強化する狙いがある。活動期間は米軍も「1年限り」と明言している。
九州防衛局はこの日、取材に「予定通り運用を開始した」と回答したが、離陸した機体数や時間などについては「米軍の運用に関わるため」として明らかにしなかった。
配備計画は5月に防衛省が市側に正式に伝え、住民説明会を開催。市議会は「情報収集は喫緊の課題」として容認決議を可決し、中西茂市長も受け入れた。一方、米軍関係者は市内のホテルに滞在し、住民の一部にはトラブル発生への心配とともに、「実質的な米軍基地化だ」との疑念もある。
地元の九条の会おおすみの松下徳二代表(84)は「監視の強化は国際的緊張を高めるのではないか」と不安を口にした。中国の海洋進出や台湾問題のリスクが言われる中、日本政府が打ち出す防衛費増額の動きを見ても、「武力衝突の方向に近づいているようにしか思えない。このまま突き進んでほしくない」と話した。(加治隼人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル