伊藤和行
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古へ移設する政府の計画に反対するデモ行進が27日夜、東京都心であった。数百人の参加者が、日比谷公園から銀座の中心街を練り歩き、「辺野古の海を埋めるな」「沖縄の民意を無視するな」と訴えた。
ちょうど10年前の2013年1月27日、同じ道を沖縄県の全41市町村長や議長、自民から共産までの超党派県議らが歩くデモが行われた。当時の参加者は翌28日、オスプレイの沖縄配備撤回と普天間飛行場の県内移設断念を求める「建白書」を携えて官邸へ行き、当時那覇市長だった翁長雄志氏(その後県知事、18年に死去)らが安倍晋三元首相に「直訴」した。
10年前のデモは、沿道にいた団体から「売国奴」などと罵声が飛んだことから、沖縄では辺野古移設反対を訴える人たちがヘイトスピーチの標的になった象徴的な出来事として記憶されている。
この日のデモで大きなトラブルはなかった。19年に辺野古埋め立ての是非を問う県民投票を実施した団体元代表の元山仁士郎さんらも参加し、デモに先立つ集会で「辺野古新基地建設断念を求める声を首都圏から上げてほしい」と訴えた。
デモに参加した那覇市出身で都内在住の会社員宇根(うね)多喜央ダンさん(32)は、父が元米軍人。「複雑な思いもあるが、私は辺野古移設は反対だから声を上げている。デモでは沿道からエールを送ってくれる人もいた。意見が違っても話し合うことが大事だと思っている」と話した。(伊藤和行)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル