絶滅の危機が増しているモリアオガエルを守ろうと、兵庫県西宮市立山口中学校(山口町上山口2丁目)の生徒たちが続けてきた保護活動が、2018年で50年を迎えた。11月には記念集会を開き、歴史を振り返った。活動に携わる生徒たちは「ふるさとの自然をこれからも末永く守り続けたい」と話す。
生徒たちは毎年5、6月ごろ、モリアオガエルの卵塊(らんかい)がある池に向かい、卵塊を10個ほど枝ごと採取して中学校の飼育小屋に持ち帰り、水槽の上につるす。毎日、卵塊が乾かないように霧吹きで水をかける。
続けているうちに孵化(ふか)が始まり、1週間ほどで小さなオタマジャクシが出てきて水槽に落ちる。エサは人間のベビーフード。食べ残しは水質が悪化するので、こまめに取り除く。後ろあしがはえてくるころまで育てて、7月ごろに池に放つ。放つ総数は毎年2千匹ほどになるという。
保護活動は、1968年、理科部の生徒が道ばたで見慣れないカエルの死骸を見つけたのがきっかけだった。当時、同部顧問で理科の教諭の藤本一幸さん(89)に調べてもらうと、モリアオガエルだった。翌年、部の生徒たちは卵塊がある池を発見。オタマジャクシがイモリに食べられてしまうのを見て、部で保護活動を始めた。「理科部の生徒たちが主体的に取り組んできた活動なのです」と藤本さん。
89年には旧環境庁(現環境省)の「ふるさといきものの里」に「山口町のモリアオガエル」が選ばれた。2006年には環境大臣から山口中理科部が地域環境保全功労者表彰を受けた。
しかし、理科部の部員は減少していき、部の存続が難しくなったため、17年、池上達校長(59)を会長とする「山口中モリアオガエル保存会」を発足。全校生徒から参加者を募って活動を継続させることにした。「かけがえのない活動を終わらせたくはなかった」と池上校長。理科部は廃部になったが、2018年は1~3年生まで計28人の生徒が部活動との掛け持ちで保存会に参加している。
3年生は2人。星出美咲さんと…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル