「里親探しに困ってませんか?」「うちで引き取りますよ」。神奈川県内の犬の繁殖業者のもとには、そんな電話やメールが毎月のように寄せられている。相手は動物愛護団体。繁殖から引退させる犬を求め、連絡してくるという。「ほかのブリーダーさんのところに『犬が足らない』と言って連絡してきた団体もある。団体間で、業者の犬の取りっこが始まっているようです」
動物愛護団体の多くはこれまで、もともと野良だったり、捨てられたりして地方自治体に収容された犬を保護し、それらを「保護犬」として新たな飼い主に譲渡する活動に力を注いできた。だが2020年度に全国の自治体が引き取った犬は2万7635匹。00年度には28万匹余りが引き取られていたから、この20年で10分の1まで減ったことになる。自治体の収容数が減れば、自治体を通した保護活動は下火になってくる。こうしたなか、業者の犬を引き取り、保護することに軸足を移す団体が増え始めているのだ。
先の業者も、以前は自分たちで繁殖引退犬のもらい手を探していた。そのために面と向かって「(繁殖犬の)使い捨てだ」と非難されることもあった。だが数年前から、動物愛護団体に引き取ってもらうようになった。「自分でもらい手を探すより楽。どんどん持っていってくれて助かってます。『使い捨て』批判も受けなくて済む。繁殖を続けていくのに、いまは団体さんがいないと困るというのが現実」と歓迎する。
ただ、業者の犬を引き取って…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル