資金洗浄(マネーロンダリング)などに関係した疑いがあるとして、金融機関から米財務省に報告された内部文書のなかに、盗掘品などの違法な取引に英大手銀行が使われた可能性が示されていることが分かった。ペーパー会社とみられる実態不明の会社が介在し、違法売買が指摘されている美術商と多額の取引が繰り返されていた。同行は「美術品が資金洗浄の道具になっている」と報告している。
内部文書は金融機関から「疑わしい取引の報告」として米財務省の金融犯罪取締ネットワーク局(フィンセン)に届けられたもの。米バズフィードニュースが入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が「フィンセン文書」と名付け、分析、調査した。
英大手銀行は2010~17年の美術品取引に関係するとみられる413件、計約2800万ドルの「疑わしい取引」を17年に報告。同行は「(取引は)美術品の違法譲渡をしやすくする目的とみられる」と記載した。浮かび上がったのは、密売人らと取引していた実態不明の会社の存在だった。香港拠点とされるこの会社について、ICIJも香港で確認することはできなかった。
フィンセン文書などによると、この会社は同行の口座を使い、10年から17年の間に、ニューヨークの美術商に計360万ドル超を支払っていた。この美術商は、盗品である13世紀のネパールの仏像を13年に北京の顧客に販売したなどとして、15年に米国で訴追され、後に有罪判決を受けている。
また、ニューヨークの別の美術…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル