能登半島地震の発生から1カ月近く経った時期に、石川県の被災地を10日間ほど取材した。
現地取材班の一員として、遺族にも会った。地震の痛みや怖さを多くの読者に伝えるためだと理解はしていても、足取りは重い。
2月1日の朝、七尾市の能登島で、同居していた父親を亡くした60代の男性に話を聞いた。玄関で立ち話をしていたら、「寒いから中に入りな」と、暖房がきいた居間に招き入れられた。その床はゆがみ、水平を保ってはいなかった。地元で捕れる魚についてなど、世間話をしているなかで、地震で建物の下敷きとなった90代の父親の話になった。
地域が混乱を極めていた頃で…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル