心臓病になった後の「心臓リハビリ」が注目されている。大阪大学発のベンチャー企業「リモハブ」は、家にいる患者を、医療者が遠隔支援する方法の開発に取り組んでいる。
大阪府吹田市内のビルの一室で、パソコンに映し出される心拍数や心電図を見ながら、女性の看護師がビデオ通話をしていた。相手は、府内の自宅でいすに座り、自転車のように足でペダルをこぐ80代の男性。「今から負荷上げますね」と、女性がパソコンを操作すると、ペダルの負荷が上がった。医師や看護師が、患者に合った適切な運動量を判断していた。
心不全患者の再入院を防ぐための心臓リハビリでは、手術後などに歩行や軽い筋トレなどをすることが勧められている。5カ月間は保険適用できる。
だが、リモハブの最高経営責任者で循環器内科医の谷口達典さん(38)によると、入院中は3割ほどの患者が心臓リハビリに取り組むも、退院後も継続する人は1割以下。体力が落ちて病院に行くことさえつらく、病院への送り迎えも家族の負担になる。
そこで、自宅でのリハビリを遠隔で支援しようと、2017年3月にリモハブを設立した。自宅でペダルをこぎ、医師や看護師、理学療法士がビデオ通話で状況を聞き取りながら、負荷を遠隔で調整する。患者はテレビを見ながらでも気軽にリハビリに取り組めるのが特徴だ。
20年度には100人以上の患者を対象に臨床試験(治験)を始める。最終的にはこの遠隔リハビリシステムを、今の心臓リハビリの保険適応で使えるようにすることが目標という。谷口さんは「できるだけリハビリの場を在宅に持っていきながら、将来は服薬、食事、栄養指導もできるような仕組みにしていきたい」と話す。(後藤一也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル