経営者の自宅を兼ねる職場で受動喫煙対策がとられずに退職に追い込まれたとして、東京都内のIT企業の元社員が17日、社員としての地位確認を求める労働審判を東京地裁に申し立てた。
申し立てによると、職場は経営者の自宅兼マンションの一室で、昨年7月に育児休業から復職して出社したところ、壁などで区切られていない台所が喫煙場所となっており、激しいせきが止まらなくなった。元社員は医師の診断を受けて休職。会社側は壁で区切った喫煙場所を作るなどの対策も拒否したため、退職を余儀なくされたという。
今年4月に受動喫煙を防ぐための改正健康増進法が全面施行され、職場は屋内禁煙が原則になった。喫煙する場合は煙がもれない専用室を設ける義務がある。元社員は記者会見で「対応を放置されて出勤できなくなった。法律上、必要な対応すらなされず大変苦しい思い」と話した。会社側は朝日新聞の取材に「内容を把握しておらずコメントを差し控える」としている。(岡林佐和)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル