文・原田達矢、写真・田辺拓也
まるで列車が水面を走っているよう――。真っ赤な橋を渡りきるまで約2分間。その姿を求めて週末に写真好きが集まる。
田園風景を走り抜け、その橋にさしかかると、列車は時速15キロに減速した。「左手前に由良川橋梁(きょうりょう)でございます」。車内アナウンスを合図に、乗客が運転手席横の小窓に集まる。「うわっ、すごい」。水面から約6メートル。目の前に青が飛び込んできた。カップルで大阪府から来たという小沢卓也さん(42)は、「こんな景色が見られるなんて」と夢中でシャッターを切った。
若狭湾沿いを走る京都丹後鉄道(丹鉄)の「丹後あかまつ号」は、西舞鶴駅(京都府舞鶴市)から天橋立駅(同宮津市)まで、風景をゆったりと楽しめる観光列車だ。週末は、写真好きの家族連れでにぎわう。若狭湾を望むスポットでは、線路上に停止した列車から撮影を楽しむこともできる。
「全国最大の赤字路線」。そう呼ばれた時期もあった。1990年から第三セクターの北近畿タンゴ鉄道が運営していたが、沿線人口の減少や少子高齢化の影響で、利用者はピーク時の年間300万人から、2014年には185万人にまで減った。再建のため、15年から運行を外部の事業者に任せる「上下分離」方式が採用された。
記事後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。
運行を任されたのはウィラー…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル