聞き手・田中聡子
「宗教2世」「ゆとり世代」など、バラバラに存在していた人たちに名前が付けられることがしばしばあります。こうしたラベルは社会の問題を可視化することもあれば、「名付けて、切り離す」という作用をもたらすことも。「若者論」を批判的に論評してきた後藤和智さんに、ラベルの功罪について聞きました。
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切り離すために貼られるラベル
ラベルは、社会問題や個人の問題を明らかにする点では有効に作用することがあります。しかし、世の中に多いのは、ラベルを貼って「切り離す」という排除が目的のものでしょう。中でも「若者」は繰り返し、そういう目に遭ってきました。
若者論は古くからありますが、特に1990年代以降、若者を蔑視し、上の世代の責任を回避する道具として使われてきました。「若者の不可解な行動」という問題が設定され、「自分たちとは違う」と社会から切り離す。「倍速視聴」などの消費行動に関する論評もそうです。そして「自分たちに責任はない」と上の世代がつくった社会の問題にはせず、個人の責任にしていったり、逆に若い世代が社会問題の要因であるかのように扱われたりします。
心構えと態度の問題にされた「ニート」
例えば2004年、学生では…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル