自宅で楽しめるDVDやCD、出版物などを紹介する連載「私の逸点」。今回、登場していただくのは朝日放送テレビアナウンサーの桂紗綾(さあや)さん。自ら高座に上がり、社会人落語日本一決定戦の受賞歴もある異色の経歴の持ち主が、落語愛をぐっと深めた思い出の漫画を語ります。
落語を応援したい
コロナで外出自粛だったころ、ラジオ番組「朝も早(は)よから桂紗綾です」の金曜演芸もん!コーナーで紹介したのがこの漫画「昭和元禄落語心中」です。読めば寄席に行きたくなるはずだから。生の落語会が復活した時に、足を運んでもらうお手伝いをしたかったんです。
拡大する「昭和元禄落語心中」(雲田はるこ、講談社)。全10巻。文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞
初めて高座に上がったのは2018年4月。テレビの「ごきげん!ブランニュ」でずっと一緒だった月亭八光さんがきっかけでした。「やってよ」「簡単にできませんよ」「いや、俺もやってるし」……。ちょうど覚え始めたころにこの漫画を読み、落語への愛や尊敬の念が深まりました。
- 桂紗綾さん
- かつら・さあや 1985年生まれ。和歌山県みなべ町出身。08年から朝日放送テレビアナウンサー。社会人落語家として活動。毎週金曜午前4時50分から「朝も早よから桂紗綾です」(朝日放送ラジオ)。
「与太郎」に共感
登場する与太郎に共感する部分が多い。元ヤクザでつらい過去があり、運命的に落語と出会った。彼は師匠の言葉に救われたんだと思います。背中の入れ墨を見せたら、過去と決別するんじゃなく「抱えて生きろ」「それが人間の業」。涙があふれて止まらなくなりました。師弟愛。こんなにも強い結びつきが落語を通して生まれてくるんだって。
拡大する社会人落語家としても活動する朝日放送テレビアナウンサーの桂紗綾さん。担当のラジオ番組で落語愛を語る=2020年6月23日、大阪市福島区
- 後半は
- 桂紗綾さんの思う「業の肯定」とは。なぜ、落語にのめり込んでいったのかについても語ります。
落語は「業の肯定」といったの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル