新屋絵理
著名な日本画家らの偽版画を制作・販売したとして、著作権法違反の罪に問われた画廊「かとう美術」(大阪市)の元代表・加藤雄三被告(53)の初公判が12日、東京地裁(小林謙介裁判長)であった。加藤被告は起訴内容を認め、検察側は「作品の価値を低下させ版画業界の信頼を失墜させた」として懲役3年、罰金200万円を求刑した。この日で結審し、判決は3月9日の予定。
検察側の冒頭陳述によると、加藤被告は奈良県で工房を営む版画作家の北畑雅史被告(67)=同罪で起訴=に2008年から計46点の複製品を作らせて、画商らが参加するオークションで本物と偽って販売し約3200万円の利益を得た。工房の経営が悪化していた北畑被告は、遺族らの承諾の有無を確認せず加藤被告の依頼を受け、1作品あたり数十万円~100万円の報酬を受け取ったという。
検察側は、加藤被告らが売った版画が違法な偽物と疑われた際、「被告らが100枚超の偽版画を焼却して証拠隠滅を図った」とも指摘した。
加藤被告は被告人質問などで、偽版画とばれないように流通させる数を調整したと説明したうえで、「著作権者をはじめ美術業界や購入者に多大な迷惑をかけた」と述べた。
弁護側は、売り上げは遊興費に使っておらず購入者への賠償を進めていることから執行猶予付きの判決を求めた。(新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル