将棋の高校生棋士、藤井聡太(そうた)七段(17)が3日、大阪市福島区の関西将棋会館で指された第78期名人戦・C級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の7回戦で船江恒平六段(32)に78手で勝った。一つ上のB級2組への昇級に向け、開幕から負け無しの7連勝となった。全10局で、残りは3局。藤井七段は来年1月14日の8回戦で小林裕士(ひろし)七段(43)と対戦する。
対局は午前10時に始まり、午後11時16分に終局した。終局後、勝った藤井七段は「(順位戦の)残り3局で全力を尽くしたい」と話した。敗れた船江六段は「(57手目▲5六歩と打って)△4六銀と出させた瞬間に、技がかけられるかなと思って、そこで考えようかなと思ったんですが、あまり良い手が無かったので。良くなかったかなあと思います」と語った。
名人戦の予選にあたる順位戦は、上からA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組という五つのクラスに分かれている。
今期C級1組には36人の棋士が参戦。6月から来年3月まで1カ月に1局のペースで、それぞれ10局戦い、成績上位2人がB級2組に昇級する。(佐藤圭司)
終局直後、藤井七段に聞いた
――相懸かりの将棋になりました。序盤、中盤の形勢判断は?
藤井「序盤は、あまり類型の無いような将棋になって。一手一手難しいと思っていたんですけど。△1三角から動いていったのがやりすぎで、形勢を損ねてしまったのかなあ、という気がします」
――58手目△4六銀と藤井七段が銀を出て、そのあたりから激しい戦いになった。終盤の戦いは、どんな構想で指しましたか?
藤井「(先手の)6五桂の働きが良いんで、それを、うまく緩和しつつ指せれば、と思っていました」
――勝ちになったと思ったのは、どのあたり?
藤井「最後まで、こちらが、あませるかどうか……、と思っていたんですけれど。最後、(78手目)△8九飛が、結構、ピッタリだったかなあ、という気がします」
――これで今期順位戦は負け無しで7連勝。次戦に向けて抱負を。
藤井「残り3局も、全力を尽くしたいと思います」
〈続いて、船江六段〉
――きょうは船江六段が先手番で、「相懸かり」の将棋になったのは事前の作戦ですか?
船江「そうですね。(あらかじめ)先後が決まっているので、相懸かりにしようかなあ、と思ってました」
――序盤、中盤の形勢判断は?
船江「(先手陣と後手陣が)同じような形で、良い勝負だろうなあ、という感じで。ちょっと、先手番としては、面白くなかったかなあ、と思ってました」
――終盤、戦いになったところですが。
「さっき言っていた(58手目)△4六銀と出られたんですが、私が(その直前に、57手目)▲5六歩と打ってから(△4六銀と出られてから)、かなり考えたんですけど。▲5六歩と打つところで、もっと考えないといけなかったですね。△4六銀と出られて、ちょっと悪くしてしまったかなあ、という感じがしました」
――なにか誤算があった?
船江「そうですね。△4六銀と出させた瞬間に、なにか技がかけられるかなと思って、そこで考えようかなと思ったんですけど、あまり、なんか良い手が無かったんで。良くなかったかなあ、と思います」(佐藤圭司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル